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2.開発の目標と開発計画
本装置は当面、信長川河口に建設中の新潟みなとトンネルの平成8年度から予定されている沈埋函沈設工事において新設函を左岸立坑の仮受けブラケットに着地させるための確認や操函の支援のために試用することを目標としている。そのため、開発目標を側方散乱光で測った濁度3ppmで視距離3mでφ1mの視野を、視距離1mでφ0.5mの視野を得ることとした。
開発の全体計画フローを第2図に示す。

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第2図 全体計画フロー

FIG 2 GRAND SCHEDULE

3.水中レーザーテレビの原理
濁水中では、懸濁物質からの後方散乱光が大きいため距離が長くなると、この散乱光により被写体からの信号がマスクされ被写体が見えなくなる。この状態では、照明光源をより強力なライトに交換しても極短パルスレーザに置き換えても、また、より高感度カメラを用いても一向に視認性は改善されない。これを解決するためにレンジゲート方式と呼ばれる技術を適用する。この原理は、レーザー光をパルス状にして照射し、濁水中の懸濁物質から反射光が戻ってくる間は、シャッターを閉じておき、被写体からの反射光を受光する時に合わせて、シャッターを開く。そして、被写体からの反射信号が通り過ぎた後は再びシャッターを閉じ、懸濁物質からの反射光を防ぐのである。

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第3図 水中レーザーテレビの原理

FIG3 PRINCIPLE OF ULVS

4.基礎実験等
4.1レーザー光の濁水中伝搬特性等
海域により光の透過の様子が異なることがこれまでも報告されているが、同一濁度でも水中の懸濁粒子の粒径により光の伝搬特性が変化することは知られていなかった。これを解明するために、濁度・粒径・波長をパラメータとしレーザー光の減衰特性を定量的に把握する実験を行った。
まず純水の減衰係数の波長依存性を調べたところ、従来から報告されているように、青から緑の領域のレーザー光が良好な伝搬特性を示した。更に、各粒径毎の濁度をパラメータとして波長依存性を調べたが、粒径が波長に比べて同程度か小さい時には、同一濁度でも長波長側(赤色)の方が減衰係数が小さいことが判った。また、粒径が波長より大きいところでは純水と同様に青から緑の領域が、良くレーザー光を通すことが判明した。

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第4図−1 純水の減衰係数の波長依存性

FIG 4-1 WAVLENGTH DEPENDENCE OF PURE WATER ATTENATION COEFFICIENT

4.2 岸壁実験
4.2.1 目的
信濃川河口で水中レーザー視認システムの実験用視認装置の基本性能を確認しプロトタイプ機の設計データを得、併せて従来の水中カメラとの比較を行う目的で岸壁実験を行った。

 

 

 

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